夏野菜の代表格であるズッキーニを料理に使う際、「アク抜きは必要なのだろうか?」と疑問に思ったことはありませんか。
そもそも生のズッキーニのアク抜き方法が分からなかったり、アク抜きに塩は使うのか、時間は何分くらいが適切なのか、戸惑うことも多いかもしれません。
また、ズッキーニの皮はむくべきなのかという疑問や、おしゃれなズッキーニの切り方、きゅうりのようにくるくるするだけでアク抜きができるのか、なすのアク抜きとの違いは何か、といった点も気になるところです。
時には、ズッキーニを焼く際に苦いと感じ、食べるべきか悩む場面もあるでしょう。
実は、ズッキーニは生で食べれる野菜ですが、調理法によって下ごしらえのひと手間を加えることで、そのおいしさを最大限に引き出すことができます。
ポイント
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ズッキーニのアク抜きが必要な場合と不要な場合がわかる
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料理に合わせた具体的なアク抜きの手順を学べる
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ズッキーニの苦味に関する注意点を理解できる
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調理の幅が広がるズッキーニの知識を得られる
ズッキーニのアク抜きの基本的な知識
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生のズッキーニのアク抜きは必要?塩を使う方法
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アク抜きの時間は何分が目安?
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万が一ズッキーニが苦い場合は捨てる
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そもそもズッキーニは生で食べられる?
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ズッキーニの皮はむくべき?
生のズッキーニのアク抜きは必要?塩を使う方法
ズッキーニは、アクが比較的少ない野菜とされており、多くの場合アク抜きをせずに調理してもおいしく食べることができます。
しかし、サラダや和え物のように生で食べる際や、薄味の料理に使う場合には、特有の青臭さやわずかな苦みが気になることがあります。
そのような場合にアク抜きをすると、より食べやすくなるようです。
アク抜きの主な目的は、えぐみや青臭さを和らげ、味を染み込みやすくすることにあります。
具体的な方法としては、塩を使うのが一般的です。
塩には浸透圧の働きで野菜の水分と一緒にアクの成分を外に出す効果が期待できます。
方法は主に2つあり、料理によって使い分けるのがおすすめです。
塩水に浸す方法
均一にアク抜きをしたい場合に適しています。
ボウルに水500mlと塩小さじ1/2程度を混ぜて塩水を作り、カットしたズッキーニを浸します。
このとき、キッチンペーパーなどを被せると、ズッキーニが浮き上がらず全体が塩水に浸かりやすくなります。
塩を直接ふる方法
食感を残したい場合や、炒め物などにおすすめです。
カットしたズッキーニの表面に、塩をまんべんなくふたつまみ程度ふりかけます。
しばらくすると水分が出てくるので、それをキッチンペーパーで拭き取ります。
この方法は、余分な水分を取り除く効果も期待できるため、料理が水っぽくなるのを防ぐことにもつながります。
アク抜きの時間は何分が目安?
アク抜きの時間は、長すぎるとズッキーニの食感や栄養が損なわれる可能性があるため、適切な時間で行うことが大切です。
一般的に、アク抜き時間の目安は5分から10分程度と考えられています。
これ以上長く浸したり放置したりすると、水分が抜けすぎてしまい、ズッキーニ本来のみずみずしさや歯ごたえが失われる原因となる場合があります。
特に水溶性のビタミンは水に溶け出しやすい性質があるため、長時間の水さらしは避けるのが望ましいです。
アク抜き方法 |
時間の目安 |
ポイント |
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塩水に浸す |
5分程度 |
全体が浸かるようにし、時間を守る |
塩をふる |
5分程度 |
水分が出てきたらすぐに拭き取る |
どちらの方法でも、5分という時間を一つの基準として覚えておくと良いでしょう。
料理の準備を始める際に、最初にズッキーニのアク抜きをしておくと、他の作業をしている間にちょうど良い時間になります。
アク抜きが終わったら、水気をしっかり拭き取ってから調理に使うことで、味がぼやけるのを防げます。
万が一ズッキーニが苦い場合は捨てる
通常、ズッキーニに含まれる苦みはアク抜きで軽減できる程度のものですが、ごく稀に、舌がしびれるほどの異常な苦みを持つ個体に当たることがあります。
この強い苦味の正体は「ククルビタシン」という成分である可能性が考えられます。
これはウリ科の植物に自然に含まれることがある物質で、通常、市場に出回る品種ではほとんど含まれないとされています。
しかし、まれに栽培環境のストレスなど、何らかの理由によってこの成分が多く生成されることがあるようです。
この成分を多く含んだものを口にした場合、腹痛や下痢といった体調不良につながる可能性が指摘されています。
実際に、国内でも関連が疑われる事例が報告されているため、少し注意が必要かもしれません。
知っておきたいポイント
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加熱しても苦みは消えにくい: この成分は熱に強い性質があるため、加熱調理をしても苦みが消えにくいと言われています。もし調理後に苦みを感じた場合も、食べるのは避けた方が安心です。
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見た目での判断は難しい: 残念ながら、苦みが強いものを外見で見分けるのは難しいとされています。
そのため、もしご心配な場合は、調理前に端を少しだけ味見してみるのも一つの方法です。
万が一、いつもと違う明らかに強い苦みやえぐみを感じた際には、もったいないと感じるかもしれませんが、安全を考慮して、そのズッキーニと、それを使って調理した料理は食べるのを見合わせることをお勧めします。
そもそもズッキーニは生で食べられる?
ズッキーニは生で食べることができる野菜です。
きゅうりのような見た目をしていますが、食感はなすに近く、味わいは淡白でクセが少ないのが特徴です。
新鮮なズッキーニはみずみずしく、加熱調理とはまた違ったシャキシャキとした食感や、かすかな甘みを楽しむことができます。
特に、旬の時期(6月〜8月ごろ)に出回る若いズッキーニは皮も柔らかく、生食に適していると言われます。
生で食べる際は、薄切りにするのがおすすめです。
ピーラーやスライサーを使ってリボン状に薄くスライスすると、見た目もおしゃれになり、ドレッシングも絡みやすくなります。
ただし、前述の通り、人によっては生のズッキーニ特有の青臭さやえぐみが気になる場合があります。
その際は、塩水に短時間さらしたり、塩もみをしたりといった簡単なアク抜きを行うと、格段に食べやすくなります。
生で食べる場合でも、アク抜きのひと手間が、ズッキーニの新たな魅力を引き出す鍵となります。
ズッキーニの皮はむくべき?
ズッキーニを調理する際、皮をむくべきか悩むかもしれませんが、基本的には皮ごと食べることをお勧めします。
ズッキーニの皮には、いくつかの栄養素が含まれていると言われています。
例えば、β-カロテンは実の部分よりも皮の近くに多く含まれる傾向があります。
その他にも、食物繊維などの栄養を効率的に摂ることを考えると、皮をむかずに調理するのが合理的かもしれません。
また、皮には独特の食感と風味があり、加熱すると実の柔らかさとの対比が楽しめます。
皮をむいてしまうと、煮崩れしやすくなるという側面もあります。
皮の食感が気になる場合
もし、皮の硬さが気になる場合や、料理の仕上がりをより滑らかにしたい場合は、全てをむいてしまうのではなく、ピーラーで縦に縞模様になるように部分的に皮をむく「しまむき」という方法があります。
こうすることで、皮の食感を適度に残しつつ、火の通りや味の染み込みも良くなります。
特に、ズッキーニが大きく育ちすぎて皮が硬くなっている場合は、この方法を試すと良いでしょう。
しかし、一般的なスーパーで販売されている標準的なサイズのズッキーニであれば、皮が硬すぎることはほとんどありません。
まずは皮付きのまま調理してみて、その食感や味わいを確かめてみるのが良いかもしれません。
ズッキーニのアク抜きは調理別に応用
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アク抜きしてからズッキーニを焼くコツ
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煮込み料理でのアク抜きのポイント
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なすのアク抜きとの違いと比較
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ズッキーニは切り方でおしゃれな見せ方になる
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きゅうりのようにくるくるするアク抜きは?
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ズッキーニのアク抜きのポイント
アク抜きしてからズッキーニを焼くコツ
ズッキーニの調理法として最もポピュラーなのが、焼くことです。
シンプルに焼くだけでもおいしいですが、アク抜きをひと手間加えることで、仕上がりが格段に変わります。
焼く場合のズッキーニのアク抜きには、「塩を直接ふる方法」が特に適しています。
理由は、アクと一緒に余分な水分を外に出すことができるためです。
水分が抜けることで、焼いたときに油がはねにくくなるだけでなく、表面がカリッと、中はジューシーに仕上がります。
また、味が凝縮されるという利点もあります。
焼く前の手順
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ズッキーニを好みの厚さ(1cm程度がおすすめ)の輪切りや乱切りにします。
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切り口に塩をまんべんなくふり、5分ほど置きます。
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表面に水分が浮き出てきたら、キッチンペーパーで丁寧に拭き取ります。
この下ごしらえをしたズッキーニを、多めのオリーブオイルで皮目からじっくり焼くのがコツです。
高温で一気に焼き付けることで、うまみを閉じ込めることができます。
アク抜きによって味が入りやすくなっているので、シンプルな塩こしょうだけでも十分にごちそうになります。
煮込み料理でのアク抜きのポイント
ラタトゥイユやカレー、スープなど、ズッキーニは煮込み料理にも最適な食材です。
煮込むことでとろりとした食感になり、他の食材やスープのうまみをたっぷりと吸ってくれます。
煮込み料理の場合、ズッキーニのアク抜きは必須ではありません。
なぜなら、加熱時間が長いため、青臭さやえぐみは調理過程で自然と和らぐことが多いからです。
また、他の野菜や調味料の味がしっかりしているため、ズッキーニのわずかなアクはほとんど気にならなくなります。
しかし、よりすっきりとした味わいに仕上げたい場合や、ズッキーニにしっかりと味を染み込ませたい場合には、アク抜きが有効です。
特に、和風の煮物など、繊細なだしの風味を活かしたい料理では、アク抜きをしておくと雑味がなくなり、上品な仕上がりになります。
煮込み料理でアク抜きをする際は、「塩水に浸す方法」が良いでしょう。
これにより、味の染み込みが良くなります。
ただし、前述の通り、栄養素の流出を避けるため、浸す時間は5分程度に留め、その後は水気をしっかり切ってから鍋に加えましょう。
また、煮崩れを防ぐために、少し厚めに切ったり、調理の後半で加えたりする工夫も効果的です。
なすのアク抜きとの違いと比較
ズッキーニとなすは、食感が似ており、料理で代用しあうことも多いため、アク抜きの方法も同じだと考えられがちです。
しかし、両者の性質には違いがあり、アク抜きの目的や方法も少し異なります。
ズッキーニ |
なす |
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アクの主成分 |
ククルビタシン(微量) |
クロロゲン酸(ポリフェノールの一種) |
アク抜きの主な目的 |
青臭さや苦みの軽減、味の染み込み |
変色防止、渋みの軽減 |
アクの強さ |
弱い |
比較的強い(品種による) |
変色のしやすさ |
しにくい |
しやすい |
推奨されるアク抜き |
生食や薄味の料理で必要に応じて |
油調理以外では推奨されることが多い |
なすは切って空気に触れると、ポリフェノールが酸化してすぐに切り口が茶色く変色してしまいます。
この変色を防ぐことが、なすのアク抜きの大きな目的の一つです。
そのため、切ったらすぐに水や塩水にさらすのが一般的です。
一方、ズッキーニはなすほど変色しやすくありません。
ズッキーニのアク抜きは、変色防止というよりも、味を整える目的が主となります。
このため、ズッキーニの場合は「必ずしもアク抜きが必要ではない」と言われることが多いのです。
このように、似ている野菜でもアクの性質やアク抜きの目的は異なります。
それぞれの野菜の特性を理解し、調理法に合わせて適切な下ごしらえを選択することが、料理上手への一歩と言えます。
ズッキーニは切り方でおしゃれな見せ方になる
ズッキーニは淡白な味わいだけでなく、その鮮やかな緑色や黄色、そして扱いやすい形状も魅力の一つです。
切り方を少し工夫するだけで、いつもの料理がぐっと華やかでおしゃれな一品に変わります。
リボン状(スライス)
ピーラーやスライサーを使って縦に薄くスライスすると、リボンのような美しい形になります。生のままサラダに加えると、くるくるとした見た目が可愛らしく、食感も楽しめます。豚肉などを巻いて焼く料理にもぴったりです。
アコーディオン状
ズッキーニに、下まで切り離さないように等間隔で切り込みを入れてアコーディオンのようにします。切り込みの間にチーズやベーコン、薄切りのハムなどを挟んでオーブンで焼くと、見た目も豪華なメインディッシュになります。火の通りも早くなるという利点もあります。
さいの目切り
ラタトゥイユやカレーの具材として定番の切り方ですが、緑や黄色のズッキーニを混ぜて使うと、彩りが豊かになります。他の夏野菜と大きさを揃えてカットすることで、料理全体に統一感が生まれます。
ボート状(一本切り)
縦半分に切り、中身をスプーンなどで少しだけくり抜いて器のようにします。くり抜いた部分にひき肉やミートソース、チーズなどを詰めて焼く「ズッキーニボート」は、パーティー料理にもおすすめです。
このように、輪切りや乱切りだけでなく、少しのアイデアでズッキーニは様々な表情を見せてくれます。料理の用途やシーンに合わせて切り方を変え、食卓を楽しく演出してみてはいかがでしょうか。
きゅうりのようにくるくるするアク抜きは?
きゅうりのアク抜き方法として、ヘタの部分で切り口をこすり合わせ、白い泡(アク)を出す「くるくる」という裏技が知られています。
この手軽さから、「ズッキーニでも同じことができるのではないか」と考える方もいるかもしれません。
しかし、残念ながら、ズッキーニに対してこの「くるくる」方法は、きゅうりほど明確な効果は期待できません。
その理由は、アクの成分と含まれている場所に違いがあるためです。
きゅうりのアクの主な成分の一つは、ヘタに近い維管束という管に多く含まれていると言われます。
そのため、切り口をこすり合わせることで、この管からアクを含んだ液体を効率的に押し出すことができます。
一方、ズッキーニのアクは、実全体に広く微量に含まれていると考えられています。
特定の場所に集中しているわけではないため、きゅうりのように切り口をこするだけでは、アクを効果的に取り除くのは難しいようです。
したがって、ズッキーニのアク抜きを行いたい場合は、この方法に頼るのではなく、これまでにご紹介した「塩水に浸す」または「塩をふる」という、より確実な方法を実践することをおすすめします。
それぞれの野菜の特性に合った下ごしらえを選ぶことが大切です。
ズッキーニのアク抜きのポイント
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ズッキーニのアクは弱く多くの場合アク抜きは不要
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生食や薄味の料理ではアク抜きで食べやすくなる
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アク抜きの目的は青臭さや苦味の軽減と味の染み込み
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方法は「塩水に浸す」か「塩をふる」の2種類
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アク抜き時間は5分から10分が目安
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長すぎるアク抜きは食感や栄養を損なう場合がある
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異常に苦いズッキーニはククルビタシンが原因の可能性
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強い苦みを感じたら安全のため食べるのを見合わせる
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苦味成分は加熱しても消えにくいと言われている
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皮ごと食べることで栄養を摂りやすくなる
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皮が硬い場合は縞模様にむくと良い
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焼く場合は塩をふって水分を抜くとカリッと仕上がる
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煮込む場合はアク抜きなしでも問題ないことが多い
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なすのアク抜きは変色防止が主な目的でズッキーニとは異なる
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切り方の工夫で料理がおしゃれになる
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きゅうりのような「くるくる」でのアク抜きは効果が薄い
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