「今年の夏も暑そうだけど、家庭菜園は諦めるしかないのかな…」
「せっかく育てた野菜が、猛暑の影響で枯れてしまって後悔したくない」
毎年のように続く家庭菜園の猛暑は、野菜を育てる方にとって大きな悩みです。
実際に、これまでの夏の暑さで野菜がうまく育たず、失敗や後悔を経験した方も多いのではないでしょうか。
しかし、暑さに強い野菜を選び、少しの工夫をすることで、猛暑の夏でも家庭菜園を成功させることは十分に可能です。
例えば、オクラやゴーヤ、モロヘイヤといった野菜は、もともと暑い地域の原産であり、日本の過酷な夏に適応しやすい性質を持っています。
また、定番のキュウリやピーマン、ナス、サツマイモなども、適切な管理を行えばたくさんの収穫が期待できます。
日当たりが良くないと栽培が難しいと思われがちなレタスでさえ、品種選びと工夫次第で栽培が可能です。
ベランダなど限られたスペースでも、ポイントを押さえれば十分に楽しめます。
この記事では、猛暑が野菜に与える影響を解説しつつ、暑さに強い野菜の種類、そして家庭菜園で猛暑を乗り切るための具体的な方法を詳しくご紹介します。
ポイント
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猛暑が野菜に与える具体的な影響
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暑さに強く、家庭菜園に向いている野菜の種類
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猛暑から野菜を守るための栽培の工夫と対策
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プランター栽培で成功させるためのポイント
猛暑でも育つ野菜の種類とそれぞれの特徴
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知っておきたい猛暑が野菜に与える影響
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夏に強いネバネバ野菜のオクラ
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栄養満点の夏野菜モロヘイヤ
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緑のカーテンとしても人気のゴーヤ
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水分補給にもなるキュウリの栽培
知っておきたい猛暑が野菜に与える影響
近年の猛暑は、家庭菜園の野菜に深刻な影響を及ぼすことがあります。
その主な原因は「高温障害」と呼ばれる現象です。
植物は生きるために光合成を行いますが、気温が高くなりすぎると、自らを守るためにその働きを弱めてしまうのです。
植物は、葉の裏側にある「気孔」という小さな穴から二酸化炭素を取り込み、成長のエネルギーを作り出しています。
しかし、気温が35℃を超えるような日が続くと、植物は体内の水分が過剰に蒸発するのを防ごうとして、この気孔を閉じてしまいます。
そのため、光合成に必要な二酸化炭素の吸収が滞り、生育が停滞することになります。
また、高温は野菜の生殖活動、つまり実をつけるプロセスにも影響を及ぼします。
特にトマトやナス、ピーマンなどの果菜類は、高温によって花粉が正常に作られなくなったり、受粉しても発芽する能力が低下したりします。
その結果、せっかく咲いた花が実をつけずに落ちてしまう「着果不良」が起こりやすくなるのです。
これは収穫量の減少に直結する深刻な問題です。
他にも、強い日差しによる果実の日焼けや、それによる変色・硬化、糖度の低下など、収穫物の品質にも大きく関わってきます。
これらの影響をあらかじめ理解しておくことが、適切な猛暑対策を講じ、夏の家庭菜園を成功させるための第一歩となります。
夏に強いネバネバ野菜のオクラ
オクラはアフリカが原産地であり、高温や乾燥に非常に強い性質を持っています。
そのため、日本の蒸し暑い夏はオクラにとって絶好の生育環境であり、夏の家庭菜園に最適な野菜の一つと考えられます。
病害虫にも比較的強く、初心者でも育てやすいのが大きな魅力です。
オクラ栽培で最も重要なポイントであり、同時に家庭菜園で失敗しやすいのが、収穫のタイミングです。
オクラの実は、花が咲き終わった後、驚くべき速さで成長します。
収穫の適期は開花からわずか3~4日後、莢(さや)の長さが8~10cm程度の頃です。
この時期を逃し、収穫が1日でも遅れてしまうと、莢の繊維質が一気に硬くなり、食感が大きく損なわれてしまいます。
スーパーで売られているような柔らかいオクラを収穫するためには、こまめに畑の様子を確認し、採り遅れがないように注意することが、美味しく食べるための何よりの鍵となります。
また、オクラは肥料を好む野菜です。
花が咲き始めたら、それは追肥のサインです。
週に1回程度のペースで肥料を与えることで、次々と花を咲かせ、たくさんの実をつけてくれます。
このひと手間が、収穫量を増やすことにつながります。
栄養満点の夏野菜モロヘイヤ
古代エジプトで「王家の野菜」として重宝されていたという逸話を持つモロヘイヤは、その名の通り非常に栄養価が高いことで知られています。
特にβカロテンやカルシウムの含有量は野菜の中でもトップクラスに位置し、夏の緑黄色野菜として家庭菜園に取り入れる価値は非常に大きいでしょう。
モロヘイヤの最大の特長は、その驚異的な生命力と耐暑性です。
暑さに非常に強く、病害虫の心配も少ないため、初心者でも育てやすい野菜と言えます。
生育も極めて旺盛で、先端の柔らかい葉を収穫すると、その下から次々と脇芽が伸びてくるため、夏から秋にかけて非常に長い期間、収穫を楽しむことができます。
ただし、モロヘイヤを家庭菜園で楽しむ上で、一つだけ知っておいていただきたい大切なポイントがあります。
実は、モロヘイヤの「種」と「種が入った莢(さや)」には、食べると体調を崩す可能性のある成分が含まれています。
もちろん、私たちが普段スーパーなどで購入し、おひたしや和え物にして食べている「葉」や「柔らかい茎」には、この成分は含まれていませんので、全く心配いりません。
家庭菜園で安全に楽しむためのコツはとても簡単です。
第一に、栽培を始めるときは「市販の苗」から育てることです。
種から育てると、発芽したばかりの若葉や、知らないうちにできた種を誤って口にしてしまうリスクを避けることができます。
初心者の方にとっては、この方法が最も手軽で確実な安全策となります。
第二に、収穫期に黄色い花が咲き始めたら、こまめに花を摘み取ることです。
花を摘んでおけば、有毒な成分が含まれる「莢(さや)」が作られるのを防ぐことができます。
このように、いくつかの簡単なポイントさえ守れば、モロヘイヤは誰でも安全に、そして美味しく栽培できる、夏にぴったりの優れた野菜です。
緑のカーテンとしても人気のゴーヤ
沖縄料理でおなじみのゴーヤ(ニガウリ)は、夏の暑さに非常に強いだけでなく、病害虫への抵抗力も高く、家庭菜園初心者にとって非常に頼もしい野菜です。
つる性の植物であるため、支柱やネットに這わせることで日差しを遮る「グリーンカーテン」としても活用できます。
夏場の強い西日を和らげ、室内の温度上昇を抑える省エネ効果も期待できるため、一石二鳥の野菜と言えるでしょう。
ゴーヤ栽培を成功させるポイントの一つは、水やりです。
ゴーヤは比較的乾燥に強いですが、水分が不足すると実の苦みが通常よりも強くなる傾向があります。
特にプランター栽培では土が乾きやすいため、土の表面が乾いたら、鉢底から水が流れ出るまでたっぷりと水を与えることが大切です。
また、つるが伸びてきたら、こまめにネットなどに誘引してあげることで、葉が重なり合うのを防ぎ、風通しを良くすることが可能です。
これにより、病気の発生を予防する効果も期待できます。
親づるの先端を摘心し、子づるを伸ばすように仕立てると、より多くの実がつきやすくなります。
水分補給にもなるキュウリの栽培
キュウリは成分の90%以上が水分で構成されており、夏バテ気味の体の水分補給にもぴったりの野菜です。
しかし、その原産地がヒマラヤ山脈の比較的涼しい地域であるため、実は日本の高温多湿な夏は少し苦手です。
適切な対策をしなければ、うどんこ病などの病気にかかりやすくなったり、生育が悪くなったりすることがあります。
キュウリの栽培で最も重要な作業は、支柱を立ててつるを誘引することです。
つるを地面に這わせず、上に向かって伸ばすことで、葉と葉の間の風通しを確保し、病害虫の発生を大幅に抑えることができます。
プランター栽培では、あんどん仕立てやネット仕立てが省スペースでおすすめです。
もう一つの重要なコツは、最初にできた実(一番果)を、まだ小さいうちに収穫してしまうことです。
株がまだ十分に成長していない段階で大きな実をつけてしまうと、株全体の成長に使うべき栄養が実に奪われてしまい、結果としてその後の収穫量が減ってしまいます。
一番果は長さ5cm程度の若いうちに摘み取り、まずは株自体の成長を優先させることが、最終的により多くのキュウリを収穫するための重要なポイントとなります。
猛暑でも育つ野菜を育てるための工夫
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育てやすく収穫量も多いピーマン
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夏から秋まで楽しめるナスの育て方
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比較的育てやすいサツマイモ
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暑さに弱いレタスを育てる工夫
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暑さに強い野菜をベランダで育てる
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猛暑でも育つ野菜を家庭菜園で育てる
育てやすく収穫量も多いピーマン
猛暑対策の工夫として、育てる野菜選びも大切です。
その中でもピーマンはナス科の野菜で、高温に強く、夏の家庭菜園では定番の存在です。
病害虫の被害も比較的少なく、初心者でも栽培しやすいのが大きな魅力と言えます。
上手に育てれば、一つの株からたくさんの実を、初夏から秋にかけて長期間にわたって収穫し続けることが可能です。
ピーマン栽培を成功させるための鍵は「肥料切れ」と「水切れ」を絶対に起こさないことです。
次から次へと実がなるため、株は常に多くの栄養と水分を必要とします。
植え付けから2週間ほど経ち、最初の実が指先ほどの大きさになったら、追肥を開始するタイミングです。
その後も2週間に1回程度のペースで化成肥料などを与え、株の生育を継続的にサポートしましょう。
また、ピーマンの枝は意外と脆く、実の重みや強風で折れてしまうことがあります。
そのため、必ず支柱を立てて茎をしっかりと固定してあげることが大切です。
一般的には、一番花(最初に咲く花)のすぐ下から出る、勢いの良いわき芽を2本残し、主枝と合わせて3本仕立てにすると、株全体のバランスが良くなり、収量も安定しやすくなります。
夏から秋まで楽しめるナスの育て方
ナスもピーマンと同じナス科の野菜で、高温多湿を好み、日本の夏に適した野菜です。
適切な管理を続けることで、夏に収穫の最盛期を迎えるだけでなく、株をリフレッシュさせて秋にもみずみずしく美味しい「秋ナス」を収穫できるのが、家庭菜園における大きな魅力です。
ナス栽培で最も重要な管理作業は、水やりと追肥です。
ナスは「水で育つ」と表現されるほど、大量の水分を必要とします。
特にプランター栽培では土が乾燥しやすいため、夏場は朝と夕方の2回、水やりが必要になることも珍しくありません。
土の表面が乾いたら、プランターの底から水が流れ出るまでたっぷりと与えてください。
追肥も最初の実がなり始めたら開始し、その後は2週間に1度のペースで継続します。
そして、秋ナスを収穫するために欠かせないのが、7月下旬から8月上旬にかけて行う「更新剪定」です。
株が夏の実の収穫で疲れてきたら、各枝を全体の高さが半分から3分の2程度になるように思い切って切り戻します。
同時に、根の周りに追肥をすることで、株が勢いを盛り返し、新しい枝葉が伸びてきます。
このひと手間によって、約1ヶ月後から、皮が柔らかく味の濃い秋ナスの収穫が再び楽しめるようになります。
比較的育てやすいサツマイモ
サツマイモは中南米が原産で、高温や乾燥に非常に強く、さらには、やせた土地でも元気に育つという大変たくましい性質を持っています。
そのため、家庭菜園初心者には特におすすめの野菜です。
深さのある大型のプランターや、市販の培養土の袋をそのまま利用する方法で、ベランダでも手軽に栽培を楽しむことができます。
サツマイモ栽培で最も注意したい点は、肥料の与えすぎです。
土壌に窒素成分が多すぎると、葉や茎ばかりが青々と茂ってしまい、肝心の芋が大きくならない「つるボケ」という失敗につながりやすくなります。
市販の野菜用培養土には元肥が含まれているため、植え付け後の追肥は基本的に不要です。
大きな芋を収穫するための重要な作業に「つる返し」があります。
サツマイモは、地面を這って伸びたつるの節々から根を出し、そこにも小さな芋を作ろうとします。
これでは栄養が分散してしまうため、夏以降、つるが茂ってきたら、地面に接しているつるを持ち上げてひっくり返し、節から出た根を剥がしてあげるのです。
この作業を定期的に行うことで、植え付けた株元に栄養が集中し、立派な芋が育ちやすくなります。
暑さに弱いレタスを育てる工夫
一般的に、レタスは冷涼な気候を好むため、猛暑の中での栽培は難しい野菜とされています。
高温になると、葉がうまく巻かなかったり、苦みが増したり、花芽が伸びてくる「とう立ち」を起こしやすくなったりします。
しかし、品種選びと栽培方法を工夫することで、夏でも新鮮なレタスを収穫することは不可能ではありません。
夏の栽培で最も重要なのは、暑さに強い品種を選ぶことです。
種苗会社のカタログや種袋には「耐暑性」や「晩抽性(とう立ちが遅い性質)」についての記載があるので、夏まきに適した品種を必ず選びましょう。
一般的に、結球しないリーフレタスや、半結球タイプのロメインレタスなどは、丸くなる玉レタスに比べて暑さに強い傾向があります。
栽培環境では、地温の上昇をいかに抑えるかが成功の鍵となります。
遮光率が20~30%程度の比較的目の粗い寒冷紗や遮光ネットでトンネルを作り、真夏の強い日差しを和らげることが効果的です。
また、株元に敷きわらや腐葉土を敷く「マルチング」も、地温の上昇抑制と土の乾燥防止に役立ちます。
水やりは気温が上がる前の早朝か、涼しくなった夕方に行い、日中の水やりは葉焼けの原因になるため避けるべきです。
暑さに強い野菜をベランダで育てる
ベランダでの家庭菜園は、庭がなくても手軽に始められる魅力的な趣味ですが、特有の難しさも存在します。
特に夏場は、コンクリートの床や壁からの照り返しによって、想像以上に高温で乾燥した過酷な環境になりがちです。
そのため、庭での栽培以上に、暑さと乾燥への対策が重要になります。
まず、プランターの選び方が大切です。
ナスやサツマイモのように根を深く広く張る野菜には、深さが30cm以上ある大型のプランターを用意しましょう。
土の容量が大きいほど、急激な乾燥や温度変化を和らげることができます。
素材としては、通気性や水はけの良いスリット鉢や素焼きの鉢が、プラスチック製のものより根の健康を保ちやすいです。
水やりは、土の乾燥状態をこまめに確認し、朝夕の涼しい時間帯に行うのが基本です。
夏場は毎日の水やりが欠かせず、場合によっては1日2回必要になることもあります。
また、エアコンの室外機の温風が直接当たる場所は、植物にとって極度の乾燥地帯となるため、絶対に避けるべきです。
プランターの下にすのこやレンガなどを置いて地面との間に空間を作り、熱が直接伝わるのを防ぐ「床上げ」も、ベランダ菜園における非常に有効な猛暑対策の一つです。
猛暑でも育つ野菜を家庭菜園で育てる
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猛暑は光合成の低下や着果不良など野菜に様々な影響を与える
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高温障害のメカニズムを理解することが対策の第一歩となる
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オクラは高温と乾燥に強く家庭菜園の初心者にもおすすめ
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オクラは収穫が遅れると硬くなるため早めの収穫を心がける
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モロヘイヤは栄養価が高く暑さに非常に強い夏野菜
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モロヘイヤの種と莢には毒性があるため苗から育てるのが安全
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ゴーヤは病害虫に強くグリーンカーテンとしても活用できる
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キュウリは水分を多く好むため水やりと一番果の早めの収穫がコツ
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ピーマンは肥料と水切れに注意すれば長期間収穫が可能
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ナスは水やりと追肥、更新剪定で秋まで収穫を楽しめる
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サツマイモはやせた土地でも育ち追肥は基本的に不要
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サツマイモはつる返しをすることで芋が大きくなる
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レタスは耐暑性のある品種選びと遮光で夏でも栽培可能
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ベランダ菜園では大型プランターと照り返し対策が重要
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適切な品種選びと栽培管理で夏の家庭菜園を成功させる
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