家庭菜園で小玉スイカを育てる際、スペースの都合や管理のしやすさから注目されているのが空中栽培です。
特に株間の取り方は、スイカ栽培において果実の品質や病害のリスクを左右する重要な要素になります。
この記事では、小玉スイカを空中栽培する際に最適な株間の目安や、植え方の基本から支柱の立て方、畝幅のとり方、ネット栽培における注意点まで、実践的な情報を幅広く解説します。
特にピノガールという品種に焦点を当て、ピノガールの栽培特徴や立体栽培に向いている理由、支柱の高さや吊るし方などの詳細なポイントにも触れます。
ポイント
-
小玉スイカを空中栽培する際の適切な株間の取り方
-
支柱の立て方や高さなどの設置方法
-
ピノガールの栽培手順や特性
-
プランターを活用した空中栽培の実践方法
小玉スイカを空中栽培!株間と植え方
-
空中栽培する場合の植え方やネットの貼り方
-
支柱の高さと設置方法
-
支柱の立て方と強度確保の工夫
-
畝幅と株間の関係
-
摘芯のタイミング
空中栽培する場合の植え方やネットの貼り方
小玉スイカを空中栽培で育てると聞くと、難しそうに感じる方もいるかもしれませんが、基本をしっかり押さえておけば、家庭菜園でも十分にチャレンジできる方法です。
特に家庭で人気の小玉スイカは、果実が軽くコンパクトなため、空中で育てても負担が少なく、見た目にも楽しめる栽培方法として注目されています。
植え方で大切なのは、まず「株間」をしっかり取ることです。
小玉スイカのツルは思った以上に広がるため、最低でも80cmは空けるようにしましょう。
これにより、ツルの展開スペースを確保できるほか、風通しと日当たりがよくなり、病害虫のリスクも減ります。
また、作業スペースが広く取れることで、日々の管理や収穫も格段にラクになります。
植え付け時は、まず苗をポットごとバケツに浸して水分を十分吸わせてから定植します。
これは根がしっかり活着しやすくするためです。
次に、植え穴に水を注ぎ湿らせた状態で、根鉢を崩さずに植え付けましょう。
風で苗がぐらつかないように、支柱や土寄せを使ってしっかり固定します。
気温が安定しない春先には、保温資材を活用して苗の生育をサポートすると良いでしょう。
ネットの貼り方も重要なポイントです。
使用するのは、園芸用の中目ネット(キュウリネットなど)で、これをピンと張った状態で支柱に取り付けます。
たるんでいるとツルが絡みにくくなり、果実の重みでネットが破れる恐れがあるため、麻紐や結束バンドなどでしっかり固定しましょう。
高さは1.8m前後が目安で、ツルが無理なく伸びられる位置に設置します。
ツルの誘引は、親づるが5節ほど伸びたら摘芯し、そこから伸びる子づるを2〜3本選び、ネットに誘引していきます。
ツルがネットに絡みやすいよう、こまめに洗濯ばさみや園芸クリップでやさしく留めるとスムーズです。
無理に引っ張るとツルを傷めてしまうので、成長に合わせて柔軟に誘引を進めましょう。
ツル同士が絡まないよう配置にも気をつけて、通気と採光を意識するのがコツです。
このように、空中栽培はやや手順が多いように思えますが、ポイントを押さえれば初心者でも成功しやすく、管理も快適です。
ツルが宙に伸び、果実がぶら下がる様子はとても美しく、家庭菜園の楽しさをさらに広げてくれるでしょう。
株間とネットの貼り方を正しく行えば、収穫量だけでなく品質も安定したスイカ栽培が実現できます。
支柱の高さと設置方法
小玉スイカの空中栽培を安定させるためには、支柱の高さとその設置方法がとても重要です。
しっかりとした支柱を立てることで、ツルや果実の重みにも耐えられる安定した構造ができ、風などによる被害も抑えられます。
初心者の方でも手順通りに進めれば問題なく設置できます。
まず、支柱の高さについては、約2m前後が理想です。
小玉スイカはツルが旺盛に伸びるため、これくらいの高さがあれば空間を有効に使えて、果実も地面に触れることなく育てられます。
見た目にもすっきりしていて、通気性もよくなります。
設置方法としては、畝の四隅に210cmほどの長い支柱を垂直に立て、上部に90cm程度の横棒を通して「合掌式」に組み立てるのが一般的です。
この方法は、構造的に安定しており、家庭菜園の空中栽培に適したスタイルです。
支柱は地面にしっかりと20〜30cmは埋め込み、ハンマーなどで打ち込んで固定します。
これにより、風が吹いてもぐらつかないしっかりした構造になります。
支柱同士の接合部は、麻紐やビニール紐、結束バンドなどを使ってしっかり結びましょう。
動かないように強めに固定しておくと安心です。
特に台風や強風の多い地域では、支柱の補強として、対角線方向に補助の支柱を入れるとより安定感が増します。
支柱の素材も重要です。
一般的には、スチールパイプ製でビニール被覆されたものが耐久性に優れていて扱いやすいです。
竹製の支柱も風情があり人気ですが、乾燥や劣化で割れやすいため、使用する場合はしっかりと補強してから使用するのが望ましいです。
繰り返し使う支柱は、使用前に傷みや曲がりがないかを確認し、安全性をチェックしましょう。
また、支柱を立てるときは、水準器や定規を使ってまっすぐに設置することも大切です。
傾いていると、ツルが成長するにつれてバランスが崩れ、倒れる原因になります。
支柱が均等に並んでいると、見た目も整っていて美しく、作業もしやすくなります。
支柱設置は手間がかかるように感じられるかもしれませんが、一度しっかり作ってしまえば、その後の栽培管理がとても楽になります。
果実の吊り下げやツルの誘引もスムーズに行えるので、最終的には手間以上の効果を実感できるはずです。
安心して育てられる環境を整えるためにも、支柱の設置は丁寧に行いましょう。
支柱の立て方と強度確保の工夫
空中栽培で小玉スイカを育てるには、支柱の立て方が非常に重要なポイントになります。
なぜなら、小玉スイカは果実が大きく重くなるため、支柱がしっかりと立っていないと栽培途中で支柱が倒れたり、果実が落下する危険性があるからです。
特に家庭菜園で初めて挑戦する方は、支柱の選び方や設置の仕方に不安を感じるかもしれませんが、いくつかの基本ルールと工夫を覚えておけば、十分に安定した構造を作ることができます。
まず支柱の長さですが、地上部分で約2メートルは必要です。
ツルが上に伸びて果実を吊るす空間を確保するためにも、高さはしっかり取りましょう。
市販されているスチール製の被覆支柱や合成樹脂製の支柱は、丈夫で耐久性も高くおすすめです。
支柱は単に地面に差すだけでは不安定なので、最低でも30cm程度は地中にしっかりと埋め込みます。打ち込みにはゴムハンマーを使い、傾かないように注意して作業しましょう。
支柱の配置は、畝の四隅に4本立て、上部を90cm程度の横棒でつなげる「合掌式」が適しています。
合掌式にすることで、全体の強度が増し、風や果実の重みで倒れにくくなります。
支柱同士の結合部分は麻紐やビニールひも、専用のジョイントなどでしっかりと固定してください。
特に風の強い地域では、支柱を地面に対して垂直に立てるだけでなく、四方からロープで引っ張ってペグなどに固定する方法も有効です。
さらに、補強の横棒を支柱の中腹にも追加すると、揺れやたわみに対する耐久性がアップします。
支柱を設置したら、次はネットの張り方にも注意を向けましょう。
ネットはツルが絡みやすいようにピンと張るのが鉄則です。園芸用のキュウリネットなどを選び、支柱に沿って上下左右均等に固定します。
ネットが緩んでいると、果実の重みでたるみが生じたり、ツルがうまく絡まず誘引しづらくなることがあるので、取り付け時にはテンションをしっかりかけましょう。
家庭菜園で失敗しないためには、こうした支柱の準備に時間と手間を惜しまないことが成功への近道です。
頑丈に設置された支柱とネットがあれば、収穫までの管理が格段に楽になり、小玉スイカの空中栽培をより楽しむことができるようになります。
畝幅と株間の関係
小玉スイカの空中栽培を始める際にまず意識しておきたいのが、「畝幅」と「株間」のバランスです。
初心者の方にとってはやや専門的に感じるかもしれませんが、この2つの要素をしっかり押さえておくことで、スイカの生育環境を整えることができ、最終的な収穫量や果実の品質にも大きく影響します。
まず畝幅についてですが、空中栽培の場合は地這いよりもスペースを節約できるため、一般的には60cmから80cm程度が標準とされています。
これはスイカの根の張りを考慮した幅であり、管理作業をしやすくするためにも適切なサイズです。
畝を高めに作ることで水はけが良くなり、スイカが病気にかかりにくくなるというメリットもあります。マルチを敷くことでさらに地温を上げ、雑草の抑制にもつながります。
一方、株間はツルが左右に展開していくことを見越して、最低でも80cmは確保しましょう。
空中栽培とはいえ、葉やツルが密集しすぎると日当たりや風通しが悪くなり、病害虫の温床になりがちです。
適度な間隔を保つことで、光がしっかりと植物全体に届き、健全な生育が期待できます。
また、管理作業がしやすくなり、特に人工授粉や追肥、摘果といった作業を行う際に手間がかかりにくくなります。
複数の苗を植える場合、畝の片側だけでなく両側に交互に配置する「千鳥植え」にする方法もありますが、その場合でも株同士が近づきすぎないように注意しましょう。
株間と畝幅のバランスが悪いと、収穫前にツル同士が絡み合い、どの果実がどの株のものか分からなくなることもあります。
また、プランターで栽培する場合でも同様に、1つのプランターに1株を基本とし、十分な間隔を確保するようにしましょう。
限られたスペースであっても、株間と畝幅を適切に取ることでスイカの成長に必要な条件をしっかり整えることができます。
このように、畝幅と株間の取り方は、空中栽培を成功させる上で非常に重要な基礎です。
苗を植える前に、どれくらいのスペースが必要かをしっかり計画し、無理のない配置で栽培を始めることで、健康でおいしい小玉スイカが実る確率がぐっと高まります。
摘芯のタイミング
小玉スイカの空中栽培において、適切な摘芯のタイミングを知ることは、健全なツルの成長と安定した着果につなげるために非常に重要です。
結論としては、親づるに本葉が5〜6枚展開した段階で摘芯するのが一般的な目安となります。
この段階で摘芯を行うことで、ツルの成長をコントロールし、子づるに養分を集中させることができるため、立体的な栽培に適した形に仕立てやすくなります。
では、なぜ5〜6枚というタイミングがベストなのでしょうか。
それは、スイカの生育初期は親づるの成長にエネルギーが多く使われるため、早すぎる摘芯では十分な株の基礎体力が得られず、逆に遅すぎると親づるが過剰に伸びてしまい、後の誘引作業や整枝に手間がかかってしまうからです。
また、適切なタイミングでの摘芯は、空中栽培における支柱やネットとの相性を高め、効率的なスペース活用にもつながります。
摘芯の方法としては、親づるの先端にある生長点を手や清潔なハサミで切り取ります。
このとき、芽をつぶさないように注意しながら丁寧に作業しましょう。
摘芯後、1週間ほどで子づるが複数出てきますので、その中から元気の良い2〜3本を選んでネットや支柱に誘引していくことが、空中栽培を成功させる次のステップとなります。
また、摘芯後の管理も重要です。
摘芯後は植物がやや不安定な状態になるため、水切れや急激な温度変化に注意し、できるだけ一定の環境で育てることが求められます。
特に春先の気温が不安定な時期には、寒冷紗やビニールカバーなどで保温対策をしてあげると、子づるの伸長がスムーズに進みます。
このように、摘芯のタイミングを的確に見極めて作業することが、小玉スイカの空中栽培で形よく、しっかりとした実を育てるための大きなカギとなります。
初めてスイカ栽培に挑戦する方も、この基本的な工程を丁寧に実践することで、成功への第一歩を踏み出せるでしょう。
小玉スイカの空中栽培は株間がポイント
-
ピノガールの特徴
-
ピノガールを空中栽培する手順
-
ピノガールの種まき時期
-
空中栽培におけるプランターの使い方
-
ピノガールの種取りと次作への活用
ピノガールの特徴
ピノガールは、一般的な小玉スイカと比較しても、家庭菜園での栽培に非常に適した品種です。
その最大の特長は、マイクロシードと呼ばれる極小のタネを持つことにあります。
タネの存在感がほとんど感じられないほど小さいため、果肉と一緒にそのまま食べられ、タネを出す手間が省けます。
これにより、小さな子どもや高齢者でも安心して楽しむことができ、ファミリー向けのスイカとして非常に高い評価を得ています。
また、カット販売やスイーツの材料としても需要が高く、タネ取りの作業がいらないことで調理の簡便性にも優れています。
家庭での食卓はもちろん、飲食店のデザートメニューにも活用しやすい特性を持っています。
さらに、ピノガールの果実の大きさは約1.6kg〜2.2kgと非常に扱いやすく、冷蔵庫にもすっきり収まるサイズ感が魅力です。
果肉は密でしっかり締まり、シャリシャリとした爽快な食感が楽しめます。
甘みも非常に強く、平均で糖度は12度前後に達し、収穫時期にもよりますが13度に達する個体も見られます。
味の安定性とともに品質の高さも評価されており、自家栽培でも満足感の高い収穫体験が得られるでしょう。
また、ピノガールは生育の勢いが強く、ツルがぐんぐん伸びるため、空間を有効活用できる空中栽培や立体仕立ての方法に特に適しています。
通常、複数の果実を同時に着果させると株が疲れやすくなりますが、ピノガールは強い草勢を保ちながらも安定した着果性を発揮するため、複数果でもしっかり育ちます。
この点は、特に家庭菜園初心者にとっては安心材料となり、育てやすい印象を強める要素です。
病気への耐性も比較的高く、特にうどんこ病やつる枯病といった蔓植物にありがちな病害にも強さを見せます。
もちろん、健全な生育には適切な環境が不可欠で、土壌づくりでは通気性と水はけの良い土壌に堆肥や腐葉土を混ぜて栄養豊富に整えることが推奨されます。
また、風通しと日当たりが良い場所を選ぶことで、病害虫のリスクを最小限に抑えることができます。
通常は接ぎ木苗を使うことで連作障害や病害耐性のリスクを減らすのが一般的ですが、実生苗でも土壌管理や輪作計画がしっかりしていれば十分に育てることが可能です。
ピノガールはその育てやすさと収穫後の満足感の高さから、これから小玉スイカを育ててみたいと考えている人にとって、非常に心強い選択肢と言えるでしょう。
ピノガールを空中栽培する手順
ピノガールを空中栽培で育てるためには、しっかりとした事前準備と、生育に応じた管理作業を段階的に行うことが重要です。
まず苗の植え付けは、気温が安定してくる4月中旬から5月上旬が適期となります。
定植の前には苦土石灰を使って土壌の酸度を調整し、pH6.0〜6.5の範囲に整えます。
次に、有機堆肥と化成肥料を適量混ぜ込んで耕し、栄養価と通気性に優れた土壌環境を整えます。
高畝を作り、そこに黒マルチを敷いて地温を高めると同時に、雑草抑制や水分保持の効果も期待できます。
空中栽培では、支柱の設置が特に重要なポイントになります。
2m前後の支柱を4本用意し、地面にしっかりと深く打ち込んだうえで、合掌式に組み上げます。
上部には90cm前後の横棒を渡して構造を安定させ、麻紐やジョイント金具でしっかりと固定します。
この支柱構造には園芸用ネットを張り、スイカのツルを誘引するための足場を整えます。
ネットの張り具合が緩いとツルがうまく絡まず、果実の重みで垂れ下がる危険があるため、ピンと張ることが大切です。
ツルが成長してきたら、誘引クリップや麻紐で丁寧に固定していきましょう。
苗を定植したあとは、本葉が5〜6枚出たタイミングで親ヅルを摘芯し、勢いの良い子ヅルを2〜3本選抜します。
これらを園芸ネットに対して均等に配置しながら誘引することで、光がまんべんなく当たり、全体の生育を揃えやすくなります。
風通しが良くなることで病害のリスクも減少し、健康的な株を保つことができます。
また、スイカは湿気に弱いため、隣接する株との間隔(株間)は最低でも80cmを確保し、広めの100cmに設定することで葉の重なりや通気不良を防ぎます。
開花期を迎えたら、朝の8時前後に人工授粉を行うのが効果的です。
雄花を取り、雌花の柱頭に花粉を丁寧にこすりつけていきます。
受粉が成功すると数日後に果実が膨らみはじめますので、その段階でネットやストッキングなどを使って実を包み、支柱に吊るす作業に移ります。
この作業は果実の落下を防ぐだけでなく、ツルの裂傷防止にもつながります。
吊るされたスイカが宙に浮かぶように実る光景は、家庭菜園ならではの楽しさも味わえる瞬間です。
収穫は人工授粉から約35日後を目安に行います。
目で見た完熟のサインとしては、果実のすぐそばの巻きひげが茶色く枯れていること、指で弾いたときにドスッと鈍い音がすることが挙げられます。
果実の底が黄色味を帯びてくるのも、完熟の目安のひとつです。
こうした目印を見極めて、タイミング良く収穫できれば、糖度の高い甘いスイカが味わえるでしょう。
このように、ピノガールの空中栽培は計画性と定期的な手入れが求められますが、その分得られる達成感や収穫の喜びは大きなものです。
特に家庭菜園初心者にとっては、工程が明確で管理しやすいことから、無理なく取り組める栽培方法としておすすめできます。
省スペースでもしっかり育ち、手入れもしやすく、実の成長が目に見えてわかるため、園芸の楽しさを存分に味わうことができるでしょう。
ピノガールの種まき時期
小玉スイカの品種「ピノガール」を育てる場合、種まきの時期を正しく見極めることが、生育をスムーズに進めるための第一歩になります。
特にピノガールは高温を好む作物で、発芽や初期の育成において温度管理が非常に重要です。
ピノガールの種まきに適した時期は、地域の気候帯によって若干異なりますが、一般的には中間地や暖地であれば3月下旬から4月上旬、寒冷地では4月中旬から5月上旬が目安となります。
この時期に種をまくことで、定植(苗を畑やプランターに植え付ける時期)を4月中旬から5月に行うことができ、夏の収穫シーズンにぴったり間に合います。
ここで疑問に思う方もいるかもしれません。
「なぜそんなに時期にこだわる必要があるのか?」という点です。
実は、スイカの種は発芽適温が25〜30℃と高めで、気温が低い時期にまいてしまうと発芽不良や生育の遅れにつながってしまいます。
また、初期の苗は寒さに非常に弱いため、種まき後に気温が急激に下がると枯死するリスクもあるのです。
そのため、発芽までの期間は必ず暖かい室内や育苗ハウス内で管理し、地温を保つためにヒートマットなどを利用することが推奨されます。
発芽後は日照を確保しつつ、温度変化の少ない環境で育てることで、徒長せずにがっしりとした苗に育てることができます。
育苗期間の目安はおよそ40〜45日。
つまり、収穫までの逆算をしながら、十分な育苗期間を確保できるようにスケジューリングすることが、ピノガール栽培成功のカギなのです。
空中栽培におけるプランターの使い方
空中栽培においても、プランターを使った栽培方法はおすすめす。
特に都市部や限られたスペースしか確保できない住宅環境では、地植えではなくプランターでの空中栽培が現実的な選択肢になります。
結論から言えば、小玉スイカを空中栽培する際にプランターを使用することで、コンパクトで効率的な管理が可能になります。
では、空中栽培においてプランターはどのように活用できるのでしょうか。
また、どのような点に注意すればよいのでしょうか。
この点を具体的に解説していきます。
まずプランターの選び方ですが、小玉スイカの栽培には深さ30cm以上、容量20リットル以上の大型プランターが適しています。
根がしっかり張れるようにするためには、底の深いタイプを選ぶのが基本です。
丸型でも角型でも構いませんが、支柱や園芸ネットを立てやすい安定性の高いものを選びましょう。
また、底面には排水性の高い構造が求められます。
鉢底石を入れ、水はけを良くすることで根腐れを防ぐことができます。
プランター栽培では、支柱の立て方にも工夫が必要です。
空中栽培は縦方向にツルを伸ばすため、リング支柱やあんどん支柱をプランターにしっかり固定します。
さらに、園芸用ネットを張り、そのネットにツルを誘引していくことで、地這いとは違う形で効率よく生育させることができます。
ネットの張り方は、支柱の高さやプランターの幅に応じて調整し、たるみのないように麻紐やビニールタイでピンと張るのがコツです。
土壌については、市販の野菜用培養土を使うのが簡単で安心です。
元肥が含まれているものを選べば、植え付け初期の施肥管理が楽になります。
ただし、小玉スイカは生育初期に肥料が効きすぎると「つるボケ」になりやすいため、元肥は控えめに、実がついてから追肥を行うようにするとよいでしょう。
追肥は液体肥料を7日〜10日おきに与えるのが一般的です。
また、空中栽培においては、果実の重みでツルが裂けたり果実が落ちるリスクがあるため、吊り下げネットの活用が欠かせません。
スイカがピンポン玉ほどの大きさになったら、ネットに入れて上部の支柱に結び、ハンモックのように支えることでツルへの負担を軽減します。
これにより、しっかりとした果実を安定して育てることができます。
このように、空中栽培においてもプランターは柔軟性があり、スペースや管理の面で非常にメリットがあります。
特に都市部のベランダや小さな庭、屋上菜園などでは、土を使わずとも本格的なスイカ栽培が実現できます。
初心者でも導入しやすいのがプランター栽培の魅力でもあります。
ピノガールの種取りと次作への活用
ピノガールの種を採って翌年に再利用できるのかは、多くの家庭菜園愛好家にとって気になるポイントでしょう。
結論から言えば、ピノガールのような小玉スイカの多くは「F1品種(一代交配種)」であるため、基本的には種を採っても親と同じ性質を持つ個体にはなりにくいとされています。
つまり、種取りは可能でも、次作で必ずしも同じ味・育ち方・実の付き方が再現できるとは限らないという点を理解しておく必要があります。
それでは、なぜF1品種の再利用には注意が必要なのでしょうか。
F1品種は、異なる系統の親同士を交配して作られたもので、雑種強勢により生育が早く、病気に強く、味や形も安定しているという特徴があります。
しかし、そのF1個体から採取した種は、親とは異なる遺伝情報を持つため、翌年に植えてもその性質がばらつきやすくなるのです。
つまり、想定と異なるサイズや味のスイカが育ってしまうリスクがあるということです。
ただし、「実験的に」あるいは「趣味的に」ピノガールの種を取って育ててみることは可能です。
種取りの方法としては、完熟した果実から種を取り出し、ぬめりをしっかりと取り除いて水洗いし、日陰でよく乾燥させます。
乾いたら密閉容器や封筒に入れて冷暗所で保存し、翌年の春に播種することができます。
ただし、その際は病気の発生や発芽率の低下を防ぐため、種を保管する際の湿度や温度には注意を払いましょう。
実際にピノガールの自家採種から育てる場合は、プランターや小さな畝で試験的に育て、苗の成長や果実の状態を観察してみるとよいでしょう。
予想以上に親と似た形質が出る場合もありますが、逆に全く異なる果実ができることもあります。このようなプロセスは、家庭菜園の醍醐味のひとつとも言えます。
なお、ピノガールを毎年安定して育てたい場合は、やはり新品の接ぎ木苗やF1種子を購入する方が無難です。
特に空中栽培では、病気への耐性や成長の早さが結果に直結するため、信頼できる種苗からスタートする方が成功率は高くなります。
このように、ピノガールの種取りにはメリットとリスクが共存しています。
成功するかどうかは試してみないと分かりませんが、植物の遺伝や成長の面白さを体感できる貴重な経験にもなるでしょう。
小玉スイカを空中栽培する場合の株間の基本
-
栽培には最低でも80cm、理想は100cmの株間を確保する
-
空中栽培には2m前後の支柱を4本使い合掌式に組むと安定する
-
ネットはピンと張り、園芸クリップでツルを優しく誘引する
-
苗の定植前にポットごと吸水させてから植え付ける
-
親づるは本葉5〜6枚で摘芯し、子づるを2〜3本選抜して誘引する
-
畝幅は60〜80cmが適切で高畝にすることで水はけも向上する
-
受粉は朝8時前後に人工授粉し、着果後にネットで吊り下げる
-
支柱は地中に20〜30cm以上打ち込み、ハンマーでしっかり固定する
-
麻紐や結束バンドで支柱接合部を強く結ぶことで倒壊防止になる
-
プランター栽培では容量20L以上・深さ30cm以上の大型容器を選ぶ
-
果実の重さ対策として果実ネットやストッキングで吊るす
-
ピノガールは糖度が高く、種が小さくて食べやすい品種である
-
種まきは地温25〜30℃が理想で、育苗は40〜45日ほど必要
-
F1品種のため種取り後の再利用は性質が変わる可能性がある
-
空中栽培はスペース効率が良く、家庭菜園でも実践しやすい
この投稿をInstagramで見る